「迷い猫オーバーラン! 2」感想

迷い猫オーバーラン! 2 拾わせてあげてもいいわよ！？(集英社スーパーダッシュ文庫)

すばらしいバランス感覚。

1巻のラストシーンからどうやって話を広げていくのかと思っていた迷い猫オーバーラン。
テキトーに濁すのかなあと思っていましたが、予想以上にうまくまとめられていました。

ツンデレキャラの内面描写までされてるのがとても面白いところで、
読み手である僕はそのすれ違いっぷりにニヤニヤしつつ、もどかしくもあるわけです。

以下、ネタバレ注意

真意が読み取れずになかなか一歩を踏み出せない主人公に、
もう一歩を踏み出してしまったから相手から来るのを待っているヒロイン。
結局いつも通りの行動をしてしまう2人。いい青春だよなあ。う、うらやましくなんか・・・。

さて、第2巻はお嬢様キャラの梅ノ森千世にスポットライトが当たっています。
文乃と同じく、どう見てもツンデレなんですが、少しタイプが違うというのがおもしろいところ。
そして、その2人の間に天然な希が入って、とてもおもしろいことになってます。
この3人、すごくバランスが取れている組み合わせだと思うんですが、どうでしょうか。

また、千世の友達として夏帆という新キャラが登場。
「お金さえあげれば、店が潰れてもいいじゃない」というお金持ちにありがちな展開につながるわけですが、
そこで、「無茶はいうけど本当に人を困らせることはしない」という設定が生きてくるのがミソ。

これのおかげで、千世の行動も憎むことができないんですよね。
アドバイスをした夏帆が悪いのかといえばそうでもなく、夏帆の価値観で行動してるだけで。
ちょっとしたすれ違いをとてもうまく演出していると思います。

唯一、読んでてイラっとくるのが乙女さんのハチャメチャな行動だったわけですが、
最後にいいところ持って行っちゃったよこの人ｗ　彼女なりにいろいろ考えてたってことですかねえ。

誰も悪役を作らず、ちょっとしたすれ違いからここまで話が広げられるのはすごいなあと。
1つ1つのピースはどこかで見たことのある話でも、それがバランスよくつなぎあわされてます。
タイトル通り、最初から最後まで駆け抜けるライトノベルでした。とりあえず、主人公は俺と変われ。

追記

迷い猫オーバーラン！２　「ツン全開　ハイテンションラブコメ！」 - アキバBlog
ゲーマーズで特典がつくってことで、ゲーマーズで売り出すまで待ってたんだけど、まさか他の店でも特典がつくとは・・・。
まあ、それは許容範囲内としても、ゲーマーズ本店ではサイン入り本って。知ってたら確実に秋葉原まで行ってたというのに。