「ロミオの災難」感想

ロミオの災難 (電撃文庫)

ロミオの災難 (電撃文庫)

ブロガーおすすめの本はおもしろい!


この本を知ったのは、とあるサイトで「おすすめ本」として紹介されていたのがきっかけ。私生活がバタバタしていた今年の1月発行モノというわけで、タイトルすら聞いたこともなかったのですが、大好きな恋愛物ということもあって、手にとってみることにしました。


表紙とタイトルを覚えてお店に行ったはずなのに、タイトルをすっかり忘れてしまって、「サイトを見る→表紙を覚える→お店へ→タイトル忘れる→サイトを見る→・・・」なんて無限ループを繰り返して、ようやく買うことができました。今度はその「とあるサイト」がどこだったのかを忘れてしまったわけですが、「おすすめ」の4文字は本物でしたよ。


とある飛空士への追憶」といい、この本といい、ネットのクチコミは本当に頼りになるものです。新しい作品に手を出すときは、おもしろそうな本を探してから、ブログでいろんな人の感想を読んで決めることも多くなりました。まぁ、依然として「作者」「イラスト」「タイトル」などなど。何かのアンテナに引っかって買うことも多いですが。


そんなこともあって、ライトノベルの感想で読みたいのは「おもしろかった」の一言。僕が感想を書くときも、適当なことに突っ込んでみたり、いかにそのキャラクターが可愛いかを語ってみたり、ラストシーンのうまさを褒め称えたり、ちょっとダメ出ししてみたりしているわけですが、やっぱりどれもネタバレになってしまって、本を読む前の紹介としてはあまり機能してないんですよね。


あらすじですら、ある種のネタバレだと思っている僕にとっては、他のブログの感想というのは、宝の山でもあり、地雷の山でもあるんです。たまーに、ネタバレなしのすばらしい紹介記事をみかけますが、そういった記事を書ける人は尊敬しちゃいますね。


さて、だいぶ作品から話がそれてしまいましたが、ここらで「ロミオの災難」のお話。


とりあえず、「ロミオとジュリエット」の概要を知ってることが大前提。作中で説明が入るとはいえ、何も知らないとちょっと面白くないし、入り込みにくいかな。かくいう僕は、英語の課題で簡約化された「ロミオとジュリエット」を読まされたことがあったので、なんとかなりました。


当時は「こんなもん長期休み中に読ませるなよ・・・」と怨み言を吐いた記憶がありますが、こんなところで生きてくるとは。勉強してて良かった。ちなみに、雛田と同様、僕もロミオはあんまり好きじゃないです。ロザラインがいたのにねぇ・・・。


以下、ネタバレ注意


また、「誰かがとりついてしまった」なんて話はよくある中、「自分の心が残ってるのに、スキな気持ちだけが変わってる」というのも新鮮でした。キスされた後に「なんで?」とかね。「不本意だけどあんたのこと想ってる」とかね。「その気持ちはウソだ」となだめる主人公ですが、それも最後に生きてくるとは。そういう見方もできるのか、と思いましたよ。


そして、雛田がキスするシーンの表現も本当に良いものでした。ラノベを読んでいるとキスシーンなんてものはたくさん見ますが、これほど丁寧に描かれた作品も珍しい。「エロさ」「可愛らしさ」が重視される作品が多い中、こういう表現は良いものですよ。


実際の恋なんてものも、「本当に好きなの?」と本人に聞かれたらうろたえそうなもので、燃え上がって踊り狂うようなロミオたちと対比しつつ、高校生のマジメな恋が描かれています。劇で、問題が1つ発生しては、それを対処していく様子はとてもいいものでした。


ロミオとジュリエット」を知ってる方におすすめな一冊。パターン化されつつある「萌え作品」に飽きてきた方にも是非。恋愛作品として素晴らしいですよ。