「コピーフェイスとカウンターガール」感想

コピーフェイスとカウンターガール (ガガガ文庫)

コピーフェイスとカウンターガール (ガガガ文庫)

久々の読み返したくなる作品。


いや、むしろ「読み返さざるを得ない作品」といったほうがいいのかもしれない。いつもの調子で軽快に読み進めていったら、見事にハメられちまったぜ。主人公もなかなか気づけなかったので、読み手が気づくのもムリな話といえば話ですが、ラストのヒントとなるような表現も所々にちゃんと入ってるんですよね。なーるほど。


僕がいかに斜め読みしていたかということもよくわかりましたよ。少なくても、この作品はじっくり読むべきだった。昨今の「1回読んだらお腹いっぱい」という作品が多い中で、「もっとじっくり読めばよかった」と思えるこの作品は貴重だと思います。


自分が他の誰かと間違われるというのは、嫌なことでもあり、気まずいことでもあります。ただ、自分が自分であることを証明するのも難しい。普通じゃ有り得ない話でありながら、全体を通しての見せ方がうまかったです。コピーフェイスとカウンターガール。設定が最大限に生きてます。


とにかく、第7章からエピローグまでの展開は本当に見事でした。すべてが分かってから読み返してみると、唸らされること間違いなしですよ。


以下、ネタバレ注意


まぁ、細かいことに突っ込むと、「同じ顔の人が50人もいて、それぞれ生活してたらさすがにバレるだろ」と思ってしまいましたけどね。自分と同じ顔が50人もいると考えるだけで吐き気がしますし。


ただ、このラストを見せられたらそんな野暮なこともいってられません。僕の好きな終わり方でしたしね。やっぱり、シリーズ化前提の作品より1巻完結の作品のほうが好きです。こういうあまーい終わり方は大歓迎なのですよ。これぞ、ライトノベル