「ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い」感想

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)

ライトノベルなら戯言シリーズがおもしろいよ」と聞いて、4月から少しずつ読み進めてきて、ようやく読み終わりました戯言シリーズ。評判通り、本当におもしろかった。


思い返せば、シリーズ第1巻のクビキリサイクル。これを読み終えた時点では、僕の中では、ギリギリ推理小説にカテゴライズされていました。しかし、ここまで読んでみると、「戯言シリーズ戯言シリーズ」としか形容できません。


解説には「新青春エンタ」を標榜しているってあるけど、ホントにそれ以外に言い表しようがないんですよね。エンターテイメント性の高い、読む人を楽しませることができる作品だと思います。


少しばかりいわせてもらいますと、西尾維新さん特有の言い回しが、良くもあり悪くもあるんじゃないかと。戯言シリーズを読み終えたばかりの僕にいわせてもらえば、「その言い回しがまたいい!」わけなんですが、最初はちょっと戸惑うかもしれません。ま、それだけの理由で読むのを止める人がいるとしたら、もったいないと思いますけどね。


なーんていいつつも、ちょっと読みながら眠くなっちゃった部分もありました。特に兎吊木さんがひたすら語ってるところは、さすがに飽きがまわってきましたよ。全部通して読んでみると、その「語り」もネコソギラジカルで拾われていて、大事なシーンだったことは分かるんですが。


そして、このネコソギラジカル。今まで出てきた登場人物が登場しつつ、新しいキャラクターたちが混ざり合う展開はお見事。第1巻の時点でここまで考えていたのかは知らないけど、本当にうまくまとまっていると思いますよ。


以下、ネタバレ注意


例えば、戯言遣いは「名前のない人が苦手」とか。確かに、いーちゃんが最後まで見抜けなかった事件は一番最初の「名前のない人が犯人」だったわけで。こんな感じに、全然考えもしなかったところが、うまくつながってくるわけです。


あとあと、崩子ちゃんがかわいすぎる。ひかりさんも捨てがたいけど、やっぱり崩子ちゃん。こんなこと書いて、崩子ちゃんに怒られたい。読み手の理性が崩壊するから、崩子ちゃんなんですかね。あー、7年後かー。


そんな感じで、「上」の時点では死人がでなくて、自分が何のシリーズを読んでるのかを忘れちゃいそうなほどでしたよ。だからこそ、萌太の死ぬシーンはショックでした。


こういうシリーズになってくると、どうせ死人がでるんでしょ、みたいな「慣れ」が生じてきそうなものですが、語り部の「ぼく」がいい感じに女の子と絡んでくれたり、ちょっとしたネタを話してみたり、次々と強烈なキャラクターがでてきたりと、うまく日常*1を織り交ぜて、変な慣れを防止しているように感じました。繰り返しになるけど、うまいんです。


うまいといえば、イラストもイメージにピッタリなんですよね。今回はいつも以上にイラストを意識せずに、妄想をふくらませて読み進めていったわけですが、読み終わった現在、ニコニコ動画やらイラストサイトやらで戯言シリーズの絵を見てみると、どれもイメージにピッタリだったり。


西尾維新さんの描写をイラストにするのって結構難しいと思うんですが、イラストレーターの竹さんは特徴をうまく捕えてると思います。アニメ化はしてほしくないけど、このイラストをもとにした動画はもっともっと見たい気がします。


そんなこんなで、長編のちょっと推理小説チックなエンターテイメントでもあるライトノベルを読みたい人は是非。ちょうど、文庫本も発売されてるみたいですしね。

*1:日常と表現するのはちょっと変だけど、こう表現するほうが適切かな