「絶対可憐チルドレン・THE NOVELS 〜B.A.B.E.L.崩壊〜」感想
絶対可憐チルドレン・THE NOVELS~B.A.B.E.L.崩壊~ (ガガガ文庫)
- 作者: 三雲岳斗,椎名高志
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/05/21
- メディア: 文庫
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マンガのライトノベル化って、ここまでできたのか。
ライトノベルがマンガ化されるのはよく見られますが、これはマンガがライトノベル化されるという珍しいメディアミックス作品。マンガがライトノベル化されたもので、僕が読んだことがある作品は、この「絶チル」と「ハヤテのごとく!」くらいのものです。
原作者がイラストを担当するという素晴らしいコラボは、マンガとライトノベルの出版社が同じだからこそ。原作ファンで表紙買いしてしまった人も多いのではないでしょうか。かくいう僕も、「ハヤテのごとく!」のときは何も考えずに買ってしまいましたし。
で、その「ハヤテのごとく!」のライトノベルを読んだときは、「まぁ、こんなもんなのかな」と思いました。正直言って、悪くもないし、良くもない。オリジナルストーリーといいつつ、原作の外伝みたいな印象を受けてしまったんです。これを書いてる今、内容もあんまり覚えていませんしね。
また、マンガという形式をライトノベルという形式に変換することによる違和感も拭いきれませんでした。そもそも、作者が違うわけで。他の人が10冊以上書いたマンガを、オリジナルストーリーで1冊のライトノベルにしろってのはムチャな話なんですよ。マンガとちょっとばかりキャラが変わってしまうなんてよくある話。
・・・の、はずなんですが、この絶チルはそれぞれのキャラクターを本当にうまく捕らえていました。しかも、完全オリジナルストーリー。原作で登場する主要なキャラクター達を、違和感なく登場させてくるという手のいれよう。これ、結構すごいことなんじゃないでしょうか?*1
また、最後の最後で、登場人物の生活環境やら、人間関係やらを大きく変化させることもなく、アフターケアもばっちり。このまま原作の一部のストーリーとして組み込まれちゃってもおかしくない話となってます。
そして何より、このストーリーがおもしろい。本って、最後のページに近づいていくにつれてどんどん盛り上がっていくのが理想じゃないですか。その点、途中に何度も山場がある週刊連載マンガとは違うわけですが、コイツもちゃんとラストに近づくにつれてだんだんと盛り上がってきます。「超能力使って倒しちゃえー」というだけの単純な展開にもなってないあたり、よくできていますよ、これ。
原作を尊重し、ライトノベルという形式を利用し、これだけのオリジナルストーリーを作成し。さすが、作者の三雲岳斗さんが「絶チルのノベライズをやらせてください」と頼み込んだ作品だけあります。
しかし、これを読んでしまうと「ハヤテのごとく!」のライトノベル化は何だったという感じがしてしまうなぁ。少しだけフォローをしておくと、原作の性質上、絶チルのほうがオリジナルストーリーを組みやすいとは思いますけどね。ハヤテは時系列制約まで考えて、パロディまで入れると、キャラとストーリーをうまく両立するのはこれこそムチャな話ですし。
とにかく、「ザ・チルドレン」がムチャなことをするライトノベル、原作を読んだことがある人はいかがでしょうか。原作が中学生編に突入してしまった今、小学生の「ザ・チルドレン」が見られるのは貴重かもしれません。