「CODE-E 遥かなる囁き」感想

やっぱり、どんな作品でも「ノベライズ版」から読むのは邪道だと思うのですよ。

例えば、同じガガガ文庫の「絶対可憐チルドレン」はかなりの出来でした。ただ、「登場人物のことはもう知ってますよね」みたいなノリもあって、原作を知らない人にはおすすめしにくい。「ハヤテのごとく！」にいたっては、原作と時系列をリンクさせたせいで、ライトノベル版から入るのはほぼ不可能になっています。

マンガを見れば、「ライトノベルを読んでね」と書いてあり、ライトノベルを見れば、「原作を読んでね」と書いてあり・・・。ま、まぁ、こっちのほうが相乗効果で売れるんでしょうけどね。

そんなこともあるので、基本的には原作の知らない作品には手を出さないようにしています。しかし、どういうわけだか買ってしまったのがこのアニメ「CODE-E」のノベライズ版。あらすじと最初のほうをちょっとだけ読んでみたら、気になってしまったのですよ。

で、結果は大当たり。なんでも、「アニメやコミックスの登場人物を脇に置いて、新キャラクターのドラマとなっています」とのことで、読んでいて分からないことがほとんどありませんでした。もちろん、脇役がでしゃばってくることもない。

そして、ある種の特殊能力がこの物語の鍵となってくるわけですが、その説明もちゃんとされていて、原作を知らない人にも分かりやすい、丁寧なつくりになっています。

しかも、内容がとっても甘いの。もうね、女の子と手をつないでいっしょに下校するみたいな、そういうベタなの大好き。大好き。いろいろあるわけですが、最後のシーンはニヤニヤすること間違いなしですよ。

以下、ネタバレ注意。

主人公が途中、沙織に傾きかけたときはホントどうなるかと思いました。主人公が断りきれてなくて、澪のことも恋愛対象として見てなかっただけに、もしかしたら沙織とくっつくこともあるのかなー、と思いながらヒヤヒヤしてました。でも、まさか沙織のほうから手を離すとは。

ライトノベルにおける優柔不断な主人公っていうのは、「相手の好意に気づけない」タイプが多いと思うんですが、実際にはこの作品みたいな「本当に好きなのか、よく分からない」というタイプのほうが多いかと思います。その点、他の作品の「いつの間にかモテている主人公」たちよりも共感がもてた気がします。

また、「言葉しないと伝わらない」というアドバイスは実に的を射ていました。これが、ストーリー全体の物語にもつながっているようで、よくできているなー、と。

それにしても、最後の積極的な澪がかわいいのなんのって。まさか、ここまで化けるとは思いませんでしたよ。かわいいは正義で、正義は勝つわけですね。こんな幼なじみ、どこかにおちてないもんかなぁ。