「さくらファミリア!」感想

さくらファミリア! (一迅社文庫 す 1-2)

さくらファミリア! (一迅社文庫 す 1-2)

かわいい女の子たちに突っ込みたくてうずうずしてきます。


先日感想を書いた「さよならピアノソナタ」と同じ作者が書いた借金ラブコメ。他の作品とは異なり、あらすじからムチャクチャです。「突っ込みどころ満載」のタグが最初からロックされたような状態。


内容のほうも、裏表紙に書いてあるあらすじのそのまんまです。誇大広告は一切ございません。会話中心でテンポ良く話が進んでいきます。


特に、大天使ガブリエルはいいキャラをしていました。主人公へのカラミ方がいちいち面白い。何度も主人公と同じツッコミを入れさせていただきましたよ。


さて、借金ラブコメといいますと、真っ先に浮かんでくるのは「ハヤテのごとく!*1でしょうか。


この本を買ったきっかけも、「さよならピアノソナタと同じ作者だから」という理由よりも、「ドタバタ借金ラブコメディ」という宣伝に惹かれた面のほうが大きいです。自分の知らないところでできた借金をどう扱っていくのか。そういったところを、ハヤテ以外の作品でも触れてみたかった。


さくらファミリア!」という作品では、笑いに特化した作品ということだけあって、主人公の不幸にスポットライトが当たることはありません。過去編で笑い成分がほとんどない「ハヤテの過去」を描いた「ハヤテのごとく!」とはずいぶんと違ってきます。


借金の金額がしばしばギャグに組み込まれるなど、「さくらファミリア!」はコメディとしての借金の使い方がとてもうまい。対する「ハヤテのごとく!」は、コメディでありながらもリアリティを出そうという瞬間が含まれています。そのリアリティがハヤテたちの成長物語として内容の濃いものとする一方で、ちょっと笑えない展開にも結びついていくわけです。


この本は、最初に「あらすじからムチャクチャ」と評した通り、ぶっとんだ展開が続きます。ただ、その非日常を読者と同じ観点から「ムチャクチャだ」と突っ込む主人公がいて、読んでいて本当に気持ちがいい。


ちょっと現実離れしてるけど、勢いで笑わされてしまう借金ラブコメディ。それが「さくらファミリア!」なのではないでしょうか。非日常の突っ込みタイムを、あなたに。

*1:アニメ化され、ラノベも出版されているけど、原作はコミック