「傷物語」感想

傷物語 (講談社BOX)

傷物語 (講談社BOX)

化物語偽物語(上)は既読。


出版順は、化物語傷物語偽物語なので、ちょっと変則的な順で読んだことになります。
それぞれの話は独立しているので、読めなくはないですけど、やっぱり出版年順で読んだほうが良かったかも。
少なくても、偽物語でキスショットが登場するシーンの印象は変わった気がします。


とりあえず、またの機会に偽物語を読み返すことにして、傷物語の話に戻りますが・・・
この作品、本当におもしろかった。
「百二十パーセント趣味で書かれた作品」ということですが、それでここまで書けるんだからすごいですよ。


言葉遊びとか、女の子を苛める(?)シーンとかを随所に挟みながら、物語としてかなりの出来栄え。
吸血鬼という簡単な設定を持ってくる一方で、戦いをあっさり終わらせてしまうなど、
他の小説じゃなかなか見られない展開をもってきて、読んでいて飽きることがなかったです。


最初の3人との戦いがあっさりしていて、これからどうなるんだろうと思いましたが、
少しずつ疑問が解消されていって、それに振り回され続ける主人公の描写はすごいなあと。


その時点では矛盾していなかった行動も、後から考えてみると矛盾していて。
終わってみれば、最初の状態よりも悪い状態になってしまったのかもしれない。
ただ、悩みぬいた末のこの結末には納得。今まで分からなかった過去の経緯も明かされてすっきりしました。


また、化物語では戦場ヶ原ひたぎの影に隠れていた羽川翼ですが、今回は大活躍。
吸血鬼のキスショットといい、このシリーズにでてくる女はすごいやつばっかりだわ、ホント。